【マウスブリーディング】

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海コラム

コラムニスト: 岡 弥生

Vol.06 【マウスブリーディング】

けなげで泣けてくる

パパの奮闘ぶり


マリン:夏って水は温かいし、魚は多いし、

いろんな生き物の繁殖行動も活発で、楽しいことがいっぱいね。


ジョー:この写真、見てくれよ〜。

かわいくてけなげな、ジョーフィッシュのマウスブリーディングをとらえたんだぜ。 


:おお〜っ、スゴい!! 何を口いっぱいくわえているの? 

何かを捕って、食べる瞬間?


蝶々夫人:違うわよー。彼は絶対にこの口の中のものは食べないわよ。

なぜなら、大切な大切な卵だから。

これは、いわゆる口内保育と言って、口の中で卵を育てる習慣なのよ。

このマウスブリーディングはたいていオスの役目で、

テンジクダイの仲間にも見られるわね。

伊豆の海だったらネンブツダイやクロホシイシモチがポピュラーかしら。

沖縄なら金色地に白の縦ラインが美しいキンセンイシモチが有名よね。


:普段は群れている彼らも、この時期はペアになって行動しているんだな。

オスとメスが腰を振り出したら産卵の合図。

メスが卵を産んで、オスがすぐに放精をして、すばやくオスは卵を口にくわえるって寸法だ。

1〜2週間くらいでオレンジ色をした卵の中に銀色の目が見えてきて、ハッチアウト。

稚魚たちは大海原へと巣立っていくんだ……。


:パパたちは、口に卵をくわえている間は、食事もほとんどできないのよねぇ。

ときどき新鮮な海水を入れ替えるために、

口を大きく開けたり、卵を出したりして、とにかく甲斐甲斐しいのよ。


:いちばん狙われやすい卵を外敵から守るという意味では、ものすごく手堅い方法ね。


:現実的だな〜。感動しないかい? 

あのまん丸とした瞳をウルウルさせながら、

口いっぱいに卵をほおばっているジョーフィッシュを見たら、それはもう涙ものなんだから!!


:ネンブツダイの仲間はたくさんいるけれど、

ジョーフィッシュは数か少ないから口内保育している個体を観察できたなんてラッキーね。


:そう言われるとぜひ見てみたいわ。

でも、人間界もそれくらいパパが子育てがんばってくれたらいいのに・・・。


:そんな四六時中、親が見守っていたら子供はいつまでたっても一人前になれないだろう?

ジョーフィッシュたちが子供の面倒を見られる期間は限られているから、

親の愛情も短期間でうんと凝縮された形になるんじゃないか。

愛情表現は人&魚、それぞれあっていいと思うぜ。


ほし店長