【シメツ】

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海コラム

コラムニスト: 岡 弥生

Vol.09 【シメツ】

黒潮と運命に翻弄される淋しい熱帯魚


ジョー:待ちに待ったシメツの季節がやってきたぜぃ!! 

もう毎週でも伊豆に通いたくなっちゃうよな。


マリン:シメツって、なんのこと?


蝶々夫人:死滅回遊魚のことよ。


:ひょえ〜〜〜。もしかして、死んだ魚が回遊してるってこと?? 

そんなオドロオドロシイものは見たくないわ。


:マリンはまだまだ素人だなぁ。


:海流に乗って、本来の生息地から流されて別の海域にやって来る魚たちのことよ。

秋の伊豆なら、黒潮に乗って南から流れて来る、サンゴ礁の魚が見られるの。


:伊豆や紀伊半島では、秋の水温は25度くらいまで上がるだろ。

だから、南方からのお客さんたちも生きていられるんだけど、

12月くらいに水温が下がると、寒さに耐えきれなくなって死んじゃうんだ。


:だから、「死滅」というわけね。


:「死滅」という言葉のイメージがあまりよくないから

「季節来遊魚」と呼ぶ人もいるけど、専門的には「無効分散」する魚のことなの。


:無効ってことは、有効じゃないんだ。


:多くの生き物は海流に乗って分布域を広げる、つまり、分散するチャンスを狙っているんだ。

でも、せっかく分布域を広げても、そこで子孫を繁栄させることができないから「無効」なんだな。


:伊豆辺りではどんな種類が見られるの?


:そうねぇ、ムレハタタテダイやカミソリウオ、ミナミハコフグの幼魚、モンガラカワハギの幼魚……。

死滅回遊魚がたくさん観察されている西伊豆の大瀬崎では、

記録されている魚類600種のうちおよそ3分の1が死滅回遊魚と言われているわ。


:って、どんだけ〜!?  あれ、でも幼魚も多いのね。


:卵や孵化後まもない遊泳力の低い仔魚が流されてくるからな。

それと、水温が低いからか、ちょっと体色が黒ずんでいる個体が多いのも特徴だぜ。


:最近は温暖化の影響からか、越冬する個体の報告例も出てきたのよ。


:かわいい赤ちゃんが死滅せずに成長するのは喜ばしいけれど、死滅しないのにシメツっていうのもね・・・。


:海の中から環境の変化にいち早く気づく。

それは、ダイバーだからこそ知りうる、大事な視点ね。

ほし店長