スナダコの遠い記憶

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海コラム

コラムニスト: こばやしまさこ

Vol.01 スナダコの遠い記憶


子育てはだいぶ前に卒業したのだけれど、今も海に行くときにお弁当をつくる。
メニューはとてもシンプルで、海苔を巻いたおにぎりに
甘い卵焼きとタコさんウインナー。

タコさんウインナーを作り続けて十年以上――
もはや達人の域の私であるが、
いまだにタコの頭が実は胴体だと知ったときの衝撃を引きずっている。
ハチマキを巻きたい、あの部分の中身が脳みそではなく内臓……
じゃあ、ハラマキじゃないか。
ちなみに脳みそは目の近くにあるそうだ。

生物学では巻き貝や二枚貝などの貝の仲間を軟体動物と呼んでいる。
タコ、イカも軟体動物で、巻き貝に近い仲間とされている。
はるかに遠い昔、タコとイカは巻き貝の殻を脱いだ。
イカは海を泳げるように、タコは海底を這いまわれるように進化した。

私はどう考えてもあの部分が頭にしか見えないでいた。
けれど、タコが巻き貝の進化系だとわかったとき、
ああ、なるほどと合点がいった。
あの部分は、本来貝殻の中にすっぽり収まるべきだったのだ。

海底に捨てられた空き瓶や空き缶に入ってちょこんと顔だけ出しているスナダコは、
なんとなく遠い目をしている。
巻き貝であったころの祖先の記憶を思い出そうとしているのかもしれない。

ほし店長