ついに発見!コアマモの開花

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コラムニスト:須原水紀
vol.14 ついに発見!コアマモの開花


左側の背の高いのがアマモ、中心部の背の低いのがコアマモ(3月下旬に撮影)

石川県・能登島の海は、夏29℃、冬は5℃と寒暖の差があるため、海の四季をはっきりと感じることができます。その季節ごとの変化を如実に表してくれるのが海の植物である海藻や海草です。
そして、海と人が共に暮らす「里海」という理想郷が存在する能登島の海中には、海藻の森が広がっています。海藻で見る四季の移り変わり、変化する海中環境、それに合わせて繰り返される生態行動など、ひとつひとつの海藻にまつわるストーリーを、能登島の海藻に魅せられたガイド・須原水紀さんが美しい写真とともに紹介します。

 「今年は暑くなる」との予測どおり、うだるような蒸し暑さと、照り付ける日差しの強い日が続いた。台風や雨の影響は少なく、営業面では良かったような気もするが、水温の上昇はとどまることを知らず、ボートポイントで29.5℃、ビーチポイントでは32℃まで上がった。ドライスーツを好む私でも、ウェットスーツでグローブもブーツも身に着けずに難なく潜ることができた。しかし、フードは手放せない。なぜなら「アンドンクラゲ」が大発生しているからだ。一般的に毒の強いクラゲとされる「カツオノエボシ」をはるかに超える危険度が示される、超危険なクラゲだ。しかも透き通っているので、泳いでいても気づきにくい。ヒョヒョロとした4本の足がマスク越しにぶつかって、慌てて方向転換を何度繰り返したことかわからない。


アマモの花(3月下旬に撮影)

 さて、この暑さとクラゲの危険に脅かされながらも、今年の夏は大きな収穫があった。それはずっと確認できずにいた「コアマモの開花」を発見することができたことだ。能登島のアマモ園についてはすでに連載の中でもご紹介してきたが、それと並ぶコアマモについては未確認なことが多かった。特に開花のタイミングについては謎に包まれていた。
 「アマモ」は葉の長さが20-100cm、幅3-5mmである一方、「コアマモ」は葉の長さが10~25cm、幅0.1~1.3mmと、比較するととても小さい。  アマモに関しては花の見ごろは「桜の咲く頃」と言って、毎年3月下旬から開花が始まり、4月中旬には満開を迎える。この時期のアマモは水底を大草原にしてしまうほど葉が増えて、その勢いはここ数年で松島ビーチのエントリー口を全てアマモで覆ってしまったほどだ。しかしこのアマモの脇でか弱く生えるコアマモは、何かひ弱で勢いがない。葉の色も鮮やかなアマモの緑に比べると、黄色っぽくて艶がない。アマモ属の繁殖は地下茎と種子の両方で行われるが、もしやコアマモは種子での繁殖は行わないのかと疑ったほどである。


コアマモのめしべ(8月下旬の撮影)

 そんなある夏の日、アマモの群落から少し離れたコアマモ群を通った時。何だかコアマモの色が鮮やかに見える気がした。アマモのように太陽の反射を受けてキラキラと波になびく。「もしや・・・」と期待半分に近づいて見ると、小さな、それは小さなコアマモの花穂(かすい)からめしべが出ているのが見えた。ひとつだけではなく、いくつも見つけ、中には花粉嚢(かふんのう)から花粉が流れるものも。そして、俵の形をした種子の詰まった鞘も見つけた。
 なるほど、全くアマモと同じようにして花を咲かせて種子を作るのだとわかったものの、なぜ開花の時期がずれているのかとの疑問も浮かんだ。というのも、能登島にはアマモの仲間である「スゲアマモ」という種類もあるが、これはほぼアマモと同時期に開花を迎える。まだまだコアマモの謎は解けず、ますます私は海藻・海草園に通い続けることになる。


コアマモの花粉(8月下旬の撮影)

 

コラムニスト

須原 水紀(すはら・みずき)さん
生まれ故郷である能登のダイビングサービス<能登島ダイビングリゾート>でガイドとして勤務。海藻への愛と情熱はピカイチ。また、マクロ生物も大好きで、海藻に付くマクロ生物を探し出す眼は「顕微鏡の眼力」といわれるほど。

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