石垣島海底遺跡と 海洋考古学調査 海底遺跡調査の一端を知る

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コラムニスト:山本 遊児 × 小野 林太郎
其の二十 石垣島海底遺跡と 海洋考古学調査 海底遺跡調査の一端を知る


【鉄錨】
1号四爪鉄錨にロープとブイを設置している様子

陸の遺跡とは違いまだ手つかずのものが多い水中遺跡、遺物の数々。
そんな、水中に眠る日本各地の遺物を追う。第20回目は沖縄県、石垣島。
沖縄本島産陶器壺と四爪鉄錨が眠る石垣島西岸部に位置する屋良部沖海底遺跡などでは、精密機器を駆使し、遺跡のデータをより正確に、素早く記録する取り組みが行われている。

八重山諸島の中心地となる石垣島とその周辺には、海底遺跡が少なくない。その多くが沈没船かその積み荷だ。これは石垣島が琉球王国時代における海上交易の中継地であったことが背景にある。そんな石垣の海底遺跡のうち、石垣島西岸に位置する屋良部沖海底遺跡については2014年9月号でも紹介したが、今回はこの遺跡を含む石垣周辺の海底遺跡群における海洋考古学の調査方法やその風景について紹介したい。


【記録】
陶器壺(壺焼き)の集積には、遺物ごとにラベルを設置し、記録していく

屋良部沖海底遺跡では、沖縄県初の大小7点に及ぶ四爪鉄錨のほか、複数の沖縄本島産陶器壺が良好な保存状態で発見され、2012年より沖縄県立博物館や東海大学らによる共同調査が行われてきた。たとえば四爪鉄錨の位置座標を記録するには、GPSを使う。しかし、人工衛星からの電波を利用するGPSは、水中では利用が難しい。そこで鉄錨のできるだけ垂直上にブイを設置し、海面に浮かぶブイの位置座標をGPSで測る方法を採用した。


【水中ロボット】
作業過程を記録する低コスト型水中ロボット

また鉄錨を実測する際には、2×2m四方のアルミ枠を作り、さらにロープで50㎝に区切りを入れ、遺物の周囲に配置した。実測は陸上の考古調査で行う方法と同じで、方眼紙上に錨の各部のサイズを正確に写していくが、作業時間の限られる水中では設置した枠からの距離を参考にすることで、より素早い実測が可能となる。さらに作業過程は、東海大学海洋学部が開発した低コスト型水中ロボットによるハイビジョン映像撮影でも記録した。


【木材片】
黒島沖で発見されたマーラン船の一部と推測される

一方、石垣島と西表島の間に広がる水深の浅い石西礁湖にも、座礁したと推測される沈没船と関わる海底遺跡が存在する。このうち黒島の沖合い近くにある遺跡では、近世琉球王国時代のマーラン船と思われる船材の一部とその積み荷となる陶器片が発見された。遺物が木材の場合は、炭素年代測定による年代の把握や木材の種類同定もできる。そこで一部を採取し分析した結果、19世紀頃のイスノキであることが判明した。この木は船材としても利用された記録が古文書に残されており、遺物がまさに船の一部であったことが確認できた。そこで今後は、発掘を含めたさらなる調査の実施を計画中だ。


【実測】
アルミ枠を用いた鉄錨の実測風景

考古学3つの原則

「遺物には触らない」「遺物を動かさない」「遺物を取り上げない」 考古学では何がどこにどのようにあるかを確認することがもっとも重要です。3つの原則を守り、遺物かな? と思うものがありましたら、月刊ダイバー編集部までお知らせください! >>hp@diver-web.jp

コラムニスト

写真=山本 遊児 (やまもと・ゆうじ)さん

水中文化遺産カメラマン/アジア水中考古学研究所撮影調査技師/水中考古学研究所研究員/南西諸島水中考古学会会員/The International Research Institute for Archaeology and Ethnology 研究員

>>this is the link with your pubblication...under your Picture: http://membership9.wix.com/iriae#!yamamoto-biografia/cddr
>>月刊ダイバーで連載中


文・解説=小野 林太郎 (おの・りんたろう)さん

東海大学海洋学部海洋文明学科 准教授。専門は海洋考古学、東南アジア・オセアニア島嶼考古学、日本オセアニア学会理事、東南アジア考古学会運営委員、日本イコモス国内委員会会員

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