徳之島周辺海底遺跡 カムィヤキ流通の痕跡を求めて

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水中考古学タイトル コラムニスト:山本 遊児 × 新里 亮人
其の二十二 徳之島周辺海底遺跡 カムィヤキ流通の痕跡を求めて

鉄錨

【鉄錨】

2011年の調査で3本確認されていたが、2015年には新たに2本が加わった。これらの位置をGPSで記録することが調査の最大の目的

陸の遺跡とは違いまだ手つかずのものが多い水中遺跡、遺物の数々。
そんな、水中に眠る日本各地の遺物を追う。
第22回目は鹿児島県・徳之島。
現在、徳之島の南端に位置する集落、面縄の海域を中心に潜水調査が行われている。
かつて琉球列島全域に流通していた陶器、カムィヤキの積み出し港を特定することでカムィヤキがこの島で生産され、各地に運搬されていたという事実を裏づけることができる

最近の研究によると、琉球王国の成立以前は、奄美諸島周辺に産業や流通の中心があったようだ。徳之島南部には、11〜14世紀の琉球列島全域に流通した陶器の生産地、徳之島カムィヤキ陶器窯跡(国指定史跡)がある。「カムィヤキ」とは、琉球列島の歴史を学ぶものにはよく知られる灰黒色の焼き物で、窯跡の発見地「亀焼」の方言名にちなんで名付けられた。徳之島以外の地で窯跡は見つかっていないため、カムィヤキはこの島で作られ、海を越えて各地に運ばれたのは確実で、私は島内のどこかに船舶往来の証拠が必ずあるとみている。

発見物

【発見物】

状態を確認し、寸法を記録する調査メンバーは考古学の専門家である

陸上にある特別な窯跡の存在に注目し、我々は有志とともにカムィヤキの積み出し港を求めて面縄海域の潜水調査を進めている。面縄の海域を選んだ理由は、①窯跡から3キロほどの場所に位置し、陶器運搬に適したなだらかな地形が海へと続く、②海岸や砂丘からは中国産の陶磁器やカムィヤキが採集される、③砂糖の運搬港として利用されていたことが江戸時代の記録に記されているからだ。2011年の潜水調査によって、面縄港沖合いの海底に3本の鉄錨が確認され、中国産青磁とカムィヤキがそれぞれ1点ずつ発見されていたので、海中にも船の往来を示唆する証拠が残されていることが明らかとなった。

青花

【青花】

「青花」と呼ばれる絵付きの陶磁器、中国産の青磁、カムィヤキなどが面縄の海底で確認できる。
こうした道具は各地から運ばれてきた可能性が高い

面縄がカムィヤキの生産時に港として利用されたことを証明するため、三菱財団の助成金を得て、2013年度の下半期から3か年の調査を実施することとなった。メンバーは奄美、沖縄での潜水調査の経験をもつ考古学者、地元のダイバー、水中写真家で構成され、調査技術向上のため海中でのトレーニングと安全管理の講習を何度か行った。

琉球の陶器

【琉球の陶器】

島民の生活に馴染み深い道具だが、面縄港で荷揚げされた可能性もある

調査前、潜水ポイントを確定するため、航空写真から海底の地形を確認したところ、面縄の海岸にはサンゴ礁の裂け目にあたる深い水路があることがわかり、以前に発見された遺物はそこに集中している。おのずと対象地は定まった。

土器

【土器】

数点確認されたが、海岸付近には先史時代遺跡も数多くあり、そこから海に流れ込んだのかもしれない

考古学3つの原則

「遺物には触らない」「遺物を動かさない」「遺物を取り上げない」

考古学では何がどこにどのようにあるかを確認することがもっとも重要です。3つの原則を守り、遺物かな? と思うものがありましたら、DIVER編集部までお知らせください! >>hp@diver-web.jp

コラムニスト

山本遊児さん写真

写真=山本 遊児(やまもと・ゆうじ)さん

水中文化遺産カメラマン/アジア水中考古学研究所撮影調査技師/水中考古学研究所研究員/南西諸島水中考古学会会員/The International Research Institute for Archaeology and Ethnology 研究員

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新里さん写真

文・解説=新里 亮人(しんざと・あきと)さん

1977年沖縄県生まれ。2007年熊本大学社会文化科学研究科修了。2004年より伊仙町教育委員会学芸員を務める

ほし店長