鷹島海底遺跡 暴風で沈んだ4千の元寇船

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水中考古学タイトル コラムニスト:山本 遊児 × 片多 雅樹
其の二十五 鷹島海底遺跡 暴風で沈んだ4千の元寇船

潜水調査風景

【潜水調査風景】

確認した遺物は計測、写真撮影等の記録を水中で行い、海面上でGPSを用いて位置情報を記録している

陸の遺跡とは違いまだ手つかずのものが多い水中遺跡、遺物の数々。
そんな、水中に眠る日本各地の遺物を追う。
第25回目は長崎県松浦市。鷹島南岸の汀線から200mの範囲では、元寇の際、暴風により沈んだ元軍の軍船が積んでいたと思われる中国産陶磁器や木製碇などが大量に見つかっている。
この遺物の分布データを蓄積することで重要遺物発見の糸口を探るなどの試みが行われている。

鷹島海底遺跡は1281年の弘安の役、いわゆる元寇の際、暴風により4千隻もの元軍の軍船が沈没したと推定される位置に所在する海底遺跡である。1980年(昭和55年)から松浦市(旧鷹島町)や大学が調査を開始し、鷹島南岸の汀線から200mの範囲、約150万平方メートルが周知の埋蔵文化財包蔵地「鷹島海底遺跡」として遺跡分布図に登載されている(昭和57年周知)。これまでに中国産陶磁器や木製碇、船体材、武器(てつはう)、武具、銅製品など、約4千点が出土している。また平成23年には琉球大学と松浦市による調査で、大量の磚とともに元寇船の一部が発見され、平成24年3月27日には38万4千平方メートルの範囲が『鷹島神崎遺跡』として、水中遺跡として初めて国の史跡に指定されている。

石弾

【石弾】

石を丸く加工し投石器を用いて使用された武器と考えられる。平成27年度の調査で6点確認した

長崎県埋蔵文化財センターは、平成25年度から5か年計画で、鷹島海底遺跡内において潜水目視による分布調査を実施している。これは元寇関連遺物の詳細な分布データを蓄積し、元寇船等重要遺物発見の糸口を探るとともに、国史跡の追加指定の基礎資料作りを行うことを目的としている。そのため調査は床浪地区において実施しており、潜水調査員3〜5人のチームで潜水し、目視による元寇関連遺物の確認調査を行っている。

磚

【磚】

平成26年度調査で確認した磚の集積。磚とは土を焼いて作られたレンガのようなもので、船のバラスト材(重し)、もしくは移動用の竈の材料として使われたと考えられている

平成25年度は床浪港東側に東西200m×南北50mの1万㎡を分布調査区域とし、石臼や碇石、磚、陶磁器など元寇関連の遺物13点を確認した。また平成26年度はさらに東側の1万㎡を分布調査し、磚の集積や陶磁器など123点の遺物を確認し、確認した遺物は写真、ビデオ、GPSにて記録し、そのまま海底に保存している。

石臼

【石臼】

平成25年度の調査で水深約10mの砂質海底で確認。口径約50㎝、高さは35㎝を測る

平成27年度は平成26年度調査区の更に東側1万㎡に関して調査を行い、石弾6点を含む106点の遺物を確認した。そして当年度はそのうち磚2点、陶磁器2点、石弾2点の計6点を取り上げ、塩抜き等保存処理を行った後、センターの精密分析機器を用いた科学分析を行うとともに、東アジア考古学の視点に立った詳細な調査を行った後、展示等活用を行っていく予定である。

この床浪地区での分布調査では、「碇石」や「磚」など元寇船に関連する遺物の発見が相次いでおり、また元軍の武器である「石弾」もが確認された。多量の磚や石弾が集中して分布していることは、床浪地区における元寇船の存在を期待させるものといえる。

考古学3つの原則

「遺物には触らない」「遺物を動かさない」「遺物を取り上げない」

考古学では何がどこにどのようにあるかを確認することがもっとも重要です。3つの原則を守り、遺物かな? と思うものがありましたら、DIVER編集部までお知らせください! >>hp@diver-web.jp

コラムニスト

山本遊児さん写真

写真=山本 遊児(やまもと・ゆうじ)さん

水中文化遺産カメラマン/アジア水中考古学研究所撮影調査技師/水中考古学研究所研究員/南西諸島水中考古学会会員/The International Research Institute for Archaeology and Ethnology 研究員

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片多 雅樹さん写真

文・解説=片多 雅樹(かたた・まさき)さん

長崎県埋蔵文化財センター主任文化財保護主事/専門は保存科学/保有免許=潜水士、学芸員、エックス線作業主任/日本文化財科学会会員/文化財保存修復学会会員

ほし店長