今月のダイバー ボートレーサー 山田竜一さん

ダイバーオンライン

ダイビングスポットの検索、ダイビングライセンスの取得、ダイビングツアーを探すならダイバーオンライン

twitter facebook DIVERMAG instagram 月刊DIVER

今月のダイバー ボートレーサー 山田竜一さん

勝負師の沖縄オフスタイルに密着

文=須賀 潮美 撮影=及川均
取材協力=おきなわトロピコ、スマイルホテル沖縄那覇

 

トップレーサーの休日はダイビング

水上を舞台に戦うボートレーサーは、ダイビングを趣味にする人が少なくない。水の上でスピードを競うレースから離れ、ゆったりと水の中を漂う解放感から、多くのレーサーがダイビングの虜になるという。中でも山田竜一選手は、ダイビング歴20年を超え、アクティブにダイビングを楽しんでいる。ボートレーサーのトップランクであるA1クラスで活躍し、およそ200人のレーサーが所属する東京支部で、支部長という重責を担う山田さんの悩みは、なかなか長期の休みが取れないこと。そんな中でも、1週間の休みが取れると、ダイビングの虫がうずき出す。
「1週間の休みでも、レースの前々日にはレース場の近くまで移動しなければならないので、自由になるのは4日程度です。その休み中に支部の仕事が入ることもあり、連続で休みを取るのが難しくなってしまいました。でもレースのスケジュールを見て、ここなら長期の休みが取れると思うと、ワクワクしてくるんです」
休みがあればダイビングを最優先にしたいという山田さんを沖縄本島の那覇に誘った。
那覇から〈おきなわトロピコ〉のクルーザーに乗り込んだ山田さんは、早速デッキに上がると、操船するスタッフの太田さんとボート談義に花を咲かせた。
ポイントは港から15分ほどのチービシ(神山島)「ラビリンス」。チーフガイドのバルさんが
「ドームやトンネルなどの地形が楽しめ、砂地ではタイワンカマスの群れが現れます。下げ潮のときはウミガメが休んでいることもあります。見どころがたくさんあるポイントです」とブリーフィングすると、山田さんは「よっしゃ~!」とガッツポーズでエントリーした。


「かわいすぎる! こんなにウミガメに近づいたのは初めて」と大喜び

那覇ベースのダイビングでウミガメ三昧

山田さんがダイビングで好きなことは、中性浮力で漂うこと。スピード勝負のボートレースから離れて、のんびり海の中を散策するのをなによりも楽しみにしている。けれども「ラビリンス」では、タイワンカマスの群れに近づくため(撮影のため)、ダッシュしなければならなかった。
「待っていたら近づいて来てくれるんじゃないかなと思ったけど、どんどん離れてしまって。ゆったり行きたかったのに、カマスの群れに向かって必死で泳ぎました。参りましたよ(笑)」
いっぽうアオウミガメは、サンゴの上で休んでいたのだろうか、接近してもまったく逃げることもなく、まどろんだ表情で山田さんを見つめる。眠いのか危害を加えられないことを知っているのか、顔と顔がくっつくほど近づいてもまったく動じることはなかった。
「超かわいかった~。こんなにウミガメに近づけて、いっしょにいられたのは20年のダイビング歴の中でも初めてですよ。ときめきますね。海の中では毎回初めてのことがあり、1本、1本、毎回新鮮です」と、目尻を下げる。おそらく、レース中はこんな柔和な表情を見せることはないのだろう。
山田さんがダイビングを始めたのは、22歳の時。当時交際中だった奥様といっしょにグアム島に旅行に行ったついでにCカードを取得した。
「2人とも海が好きで、だったらスクーバのライセンスでも取ってみようと、わりと気軽な気持ちで講習を受けました。その時は正直言って、こんなに夢中になると思っていませんでしたよ(笑)。別世界で、ほんとうに1人の時間ですね。年齢を重ねると役職も増えて、しがらみも多くなる。そこから解放してくれるのはダイビングですね」。


タイワンカマスの群れとのショットを収めるために、水中ダッシュ!

妥協したらトップレーサーでいられない

山田さんは、平和島ボートレース場のお膝元でもある、東京の大田区育ち。子供の頃からボートレースに親しみ、高校を卒業すると、父親のすすめでボートレーサーの道へ進んだ。
「普通の勤め人にはなりたくないと思っていましたが、ボートレーサーは僕のどストライクでした。すすめてくれたおやじに感謝しています。負けず嫌いですから、勝負の世界が合っているんです。ボートレーサーは妥協したら終わりです。勝つにはどうすればいいか、自分で考え、努力しないと上には上がれません」
妥協を許さず、つねにレースに勝つことを追求する山田さん。自身の得意戦法は外コースからトップスピードでコーナーを回り、他の選手を一気に抜き去る「まくり」だという。
「ボートレースでは外側からまくり上げるのが醍醐味ですから。僕らが気持ちのいいレースは、ファンにとっても盛り上がるレースです。お客さんに喜んでもらうのが僕らにとっていちばんうれしいことです」
レースでは緊張を保つ一方で、リラックスして1回、1回のレースのイメージを作ることも大切という。出走前は水面状況を観察し、エンジンのコンディションを考え、どの位置からスタートするかイメージを決めて行く。
「イメージを作るのはスタート直前ですね。ピットインした時は無になるくらいがちょうどいいんです。考えすぎるとスタートもろくに決まらなくなります」
そしてスタートすると、最高速度80㎞で水面を滑走する。コースを周回するときもスピードを落とさずに180度ターンする。順位を上げるため、ときには隣の艇とぶつかりながら周回する。激しい順位争いから、ボートレースは水上の格闘技ともいわれ


いつもはカメラ片手に潜るという山田さん。今回はノーカメラで魚をじっくり観察


地形も楽しめる「ラビリンス」。洞窟内ではカノコイセエビにも遭遇した


「大きさがぜんぜん違うから」と笑いながら、クルーザーの操舵

る。そんなボートレースと水中をのんびり泳ぐダイビングに、山田さんは共通するものがあるという。 「呼吸が大切なところが共通しますね。ダイビングで中性浮力は、パカパカ吸っていたらうまくとれないじゃないですか。ボートレースでもヘルメットをかぶって集合がかかる1分前くらいに、深く吸って、深く吐く呼吸をします。これが集中力を高め、リラックスするのに効果があるんです。呼吸をコントロールしていかにリラックスするかは、ボートレースもダイビングも同じだと思います」


ガイドのバルさん(写真右)と。器材は、すべてマイ器材をいつも持参


自作のログブックを持参した山田さん。「ロギングは必ずする」という。


那覇のアフターダイビング。トロピコ山本オーナーとも意気投合。

異業種のダイビング仲間から
新たな刺激を受ける

10年ほど前から、石垣島のダイビングサービスに通い詰めている山田さん。オーナーが同年齢で意気投合し、ダイビング以外にもプライベートな相談もする。ゲストも同世代で多様な業種で活躍する人たちが集まっている。ダイビングは海が楽しめることに加え、出会いがあるのも魅力だ。
「ドクターヘリに乗るお医者さんには、石垣島まで仕事の電話がかかってくる。携帯電話があるから、どこまでも仕事が追ってきて、想像以上にハードなんだと思ったり。いっぽう僕はレース中は外部と接触できないように、携帯電話の持ち込みが禁止されています。家族と直接連絡を取ることもできません。そんな話をすると、今の世の中にそんな世界があるんですねと驚かれたりしています。ダイビングという共通の趣味がなければ、まったく知り合わなかった人たちと出会え、いろんな話ができるのも楽しいですね。すごく刺激になるんです」
那覇でも新たな出会いが待っていた。山田さんは〈おきなわトロピコ〉のオーナー山本博さんに連れられて街へ繰り出した。
「ダイビングは、人の縁が広がっていくのがいいんですよ。今回、那覇で潜って、海でも陸でも新たな出会いがありました。5年生と2年生の子供たちも海が大好きなので、これを縁に来年の夏休みには家族を連れて那覇を訪れ、ケラマの海を楽しみたいですね」。


ターンに切れのある土屋選手。コーナーから直線へ、一気に攻める

山田選手の出走予定

1月20~25日宮島、2月6~11日戸田のレースに出走予定。以後のスケジュールはボートレース公式サイトの「ボートレーサー検索」で確認できる。。
www.boatrace.jp

月刊ダイバースタッフといっしょにボートレース場へ遊びに行きませんか? ビギナー向けのレクチャー、特別室での観戦、ピット場見学、チーム対抗舟券予想ゲームなど、特典満載です。しかも、当日は山田竜一選手も登場予定です! 2月15日(日)、ボートレース江戸川で実施予定。参加費は無料です。詳細はこちら。

那覇市・国際通りに面したボートレースアンテナショップへ行ってみよう!

2012年7月、沖縄初のボートレースアンテナショップ〈CAFE & BAR ROKU沖縄〉が国際通りにオープンした。店内には、ボートレースのさまざまな情報や本物のボートが展示してあり(ボートに乗っての写真撮影等も自由)、ボートレースの魅力を伝える空間だ(※ただし、店頭での舟券購入はできない)。テーブル席がある店内では、北谷町の人気カフェ〈DOUBLE DECKER〉とコラボしたビーフオムライス、オムタコライスなど、フードメニューが充実。さらに、ボートレースをイメージした6色の「ボートニャカクテル」や泡盛などのBARメニュー、沖縄ぜんざいやソフトクリームなどのカ

壁面には〈ROKU沖縄〉を訪れたボートレーサーのサインがずらり。山田選手のサインも加わった

フェメニューも豊富。Wi-Fi利用も無料で、自由に使えるパソコンも2台設置されている。国際通りでのショッピングなどではぜひ立ち寄りたいスポットだ。不定期ながら、カフェ内でボートレース関係のイベントなども開催しており、沖縄での貴重な情報発信基地ともなっている。

CAFE&BAR ROKU沖縄

Tel.098-943-6746
那覇市久茂地3-29-70
ココスガーデンテラス1階
9:00~22:00(LO21:00)、年中無休

01,間口は狭いが、奥に進むと全席テーブルのカフェになっている
02,広々としたカフェ。本物のボートをはじめ、ボートレース関連の展示が各所にある
03,タコライスを卵でカバーしたオリジナルの「オムタコライス」(¥740)は看板メニューの1つ